オープンアクセスとは、インターネットを通じて研究成果を無料で公開し、世界の人々が、対価なくこれを享受できるようにすることです。
学術研究とその普及をそれぞれの立場で担う、研究者、学生、大学・研究機関、学会、学術出版社の間で、このオープンアクセスについての認識を共有し、その促進を図ることを目的として定められた国際的な週間がオープンアクセスウィークで、世界各国でさまざまな催しが行われます。
研究成果をオープンアクセスにするには、
(1)研究成果を、無料公開の電子ジャーナルに発表する
(2)有料の学術誌への研究成果掲載に併せて、大学・学術団体の運営するアクセスフリーのウェブサイトでも公開する
という方法があります。
日本の大学・研究機関では、機関リポジトリの整備を進めており、大学・研究機関に所属する研究者は、自らの執筆した研究論文や学会発表スライド、市民向け読み物から、同業者と共有したい実験データ・観測データ類まで、さまざまな学術研究活動の所産を、機関リポジトリを通じてオープンアクセス化しつつあります。
鹿児島大学では、このオープンアクセス運動のひとつであるリポジトリにより、学内の学術研究成果を国境を越え、時代を越えて、誰もが経済的負担なく利用できる、世界人類の共有財産としていくことを目指します。
→オープンアクセスウィークについての詳細: http://www.openaccessweek.org/
→日本の活動サイト: https://jpcoar.repo.nii.ac.jp/oaw2022
◇オープンアクセスジャーナルについて
上述のように、研究成果をオープンアクセスにする方法の一つとして「(1)研究成果を、無料公開の電子ジャーナルに発表する」を挙げましたが、このような無料公開の電子ジャーナルをオープンアクセスジャーナルと呼び、ディレクトリ DOAJ(Directory of Open Access Journal) によると、2022年10月24日現在で18,405種あります。
一口にオープンアクセスジャーナルと言ってもいくつかに分類できます:
- 有料誌のオープンアクセスオプション(論文ごとにオープンアクセスにするかどうかを選択できるというもの)
- 著者負担型オープンアクセスジャーナル(著者が論文出版の所要経費を負担するジャーナル。大手商業出版社も相次いで参入しており、ビジネスモデルの一つとして確立されつつあります。トップ誌リジェクト論文の受け皿としての機能を持つ場合も。)
- その他(冊子は有料・電子は無料というもの、バックナンバーは無料というもの、著者負担も読者負担もない無料というもの、とさまざま)
学術情報流通量が増加を続ける中、その流通の様相や出版コストの負担のあり様も変化しつつあります。オープンアクセスウィークの機会に、このような状況についても考えてみてはいかがでしょうか。
◇補足
ジャーナルに続き、オープンアクセスの書籍のディレクトリも誕生しています(DOAB : Directory of Open Access Books)。また、データリポジトリも増加しており、ディレクトリでそれらの情報を得ることができます。