@article{oai:ir.kagoshima-u.ac.jp:00014765, author = {伊藤, 奈賀子 and ITO, Nagako}, journal = {鹿児島大学総合教育機構紀要}, month = {Mar}, note = {本稿は、国立大学の地域系学部に焦点を当て、そのカリキュラムの体系性を担保する要素を明らかにしようと試みたものである。私立大学と比較して、国立大学での学部新設の頻度は非常に低い。にもかかわらす、この2~3年の間で10以上の新設学部が誕生しており、その多くが地域系学部である。このような学部新設の背景には一定の社会的ニーズがあるものと考えられ、地方創生という政策的な動きとも連動している。 一方、これとは異なる教育政策的な流れとして、昨今の大学では、体系的なカリキュラムの構築とそれに基づく教育の実現、そして、学習成果に対する厳格な評価に対する要請がある。共通教育と専門教育とに分離しがちな学士課程カリキュラムを全体として体系化するとともに、そこで得られた学習成果を明確な基準でもって評価することが強く求められている。 この2つの動きの接続点といえるのが、地域系学部のカリキュラムである。カリキュラムの体系化が強く求められる流れの中で設置された学部である以上、地域系学部のカリキュラムは明確な体系性を持っていると考えられる。それでは、地域系学部においてはどのような柱でもってカリキュラムの体系性を担保しているのか。それは、既存の学部で見られるような学問的専門性なのか、それとは異なる要素あるいは何らかのモデルをもって説明されるものか、これを明らかにするのが本稿の目的である。 本研究を通じて明らかになったことは、地域系学部カリキュラムにおいて、体系性を担保する明確な要素は見当たらないという点である。1つの確立された学問体系を柱としていない地域系学部においては、能力要件に基づく体系化も充分とはいい難く、現段階においては各々の大学及び学部が自己判断をしている状況にとどまっている。 ただし、カリキュラムを構成する科目群については1つのモデルが試作された。このモデルは、複数の科目の組み合わせから成る科目群を示すものであり、このモデルの組み合わせからカリキュラムが構築されていると見なすことができるとともに、カリキュラム全体にも概ね当てはまるものである。 今後の課題として、カリキュラム設計に携わった関係者間において、どのような基準で体系的であると判断しているかを明らかにすることが挙げられる。地域系学部カリキュラムについて、その体系性を説明するためのモデルは開発したものの、実態が大学や学部の自己判断に過ぎないとすれば、その基準を明確にする必要がある。それは同時に、本稿において開発したモデルが地域系学部全体に適用できるか否かを確認することでもある。}, pages = {20--34}, title = {地域系学部におけるカリキュラムの特徴と体系性 : 国立大学の地域系学部に着目して}, volume = {1}, year = {2018}, yomi = {イトウ, ナガコ} }